きままに図書館

年間120冊ほど本を読む”本のむし”です。心に染みた本たちの備忘録&ご紹介をしていきたいと思います。ネタバレありますのでご注意願います…!

『秘密』/東野 圭吾/あらすじ・ネタバレ・感想

『秘密』

著者:東野圭吾

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1998年度ベストミステリーとして話題となり、広末涼子主演で映画化、志田未来主演で連続ドラマ化もされた東野圭吾出世作。累計200万部突破の伝説のベストセラー。

登場人物が少ないので、非常に読みやすいです。普段あまり小説を読まない方にもお勧めしています!

ーーー内容(「BOOK」データベースより)ーーー

妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。

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大学生の時に読んだ小説ですが、今でもふと読み返したりします。設定としてはあり得ないことですが、平介の心情がリアルに描かれていていて何回読んでも胸が締め付けられます。

あらすじ・ネタバレ

【起】

39歳の杉田平介は妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美と暮らしていました。ある日、長野の実家に行く妻と娘を乗せたスキーバスが崖から転落してしまい、病院に搬送されるも妻は死亡。娘は一命を取り止め意識を取り戻しますが、娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻でした。

【承】

外見は小学生ながら今までどおり家事をこなす妻・直子は「藻奈美の魂が戻ってきた時に、より良い人生を歩んで欲しい」と猛勉強を開始。私立中学を受験をし、その後は医学部を目指し、見事難関高校を合格します。そして時は流れ、年頃の女性になった藻奈美(直子)に思いを寄せる部活動の先輩・相馬が現れ、平介は嫉妬心を隠しきれなくなります。やがて盗聴セットを仕掛けて直子の電話を盗み聞きしたり、彼女宛の郵便物を全てチェックするなど、その行動はエスカレートしていきます。直子は平介の葛藤に気付き、性行為をしようと誘いますが、体は娘である為、平介は受け入れることができませんでした。

【転】

家庭関係が悪化する中、被害者の会で中で平介は、バスの運転手(幸広)の妻・梶川征子と知り合い、征子は遺族に謝罪した上で、夫の幸広は過重労働をしていたと告げます。過重労働は会社からの命令ではなく、幸広の意志であり、過重労働をしたお金は元妻・根岸典子に送っていることが判明します。幸広と根岸典子には息子・文也がおり、その学費を送っていたのでした。しかし文也は実は幸広の子供ではなく、幸広もそのことを知っていました。それでも父親であろうとした幸広の覚悟を知り、平介はある決意をします。藻奈美を「妻ではなく、娘として接すること」とし、呼び方を直子から藻奈美に変えます。そしてその後、少しづつ藻奈美の魂が目を覚ますようになります。そしてついに直子の魂は消えてしまうのです。平介は直子の魂が消えたことに悲しみつつも藻奈美が目覚めたことに喜びを感じ、家族関係はよくなっていきます。

【結】

数年後、藻奈美は相馬と結婚します。結婚式当日、親戚から藻奈美の結婚指輪は直子の結婚指輪を作り直したことを聞かされます。この結婚指輪は平介と直子がテディベアに隠したものであり、2人だけしか知らないことだったのです。藻奈美がなぜ直子の結婚指輪があるところを知っていたのか、平介はある仮説にたどり着きます。直子は、平介の葛藤する姿を見て、これからは一生藻奈美として生きていこうと思ったのではないか…と。ラストのシーンで、平介は相馬に「2回殴らせてくれ」とお願いをします。一回は藻奈美を嫁に出すこと、そしてもう一回は直子を嫁に出すこと…。

【感想】

本当のとことは分からない・・・として小説は終わりましたが、もし本当に直子が藻奈美として生きる決意をしたのであれば…平介、直子の気持ちを考えると涙が止まりません。記事を書いていたらまた読み返したくなってきました。何度読んでも泣ける小説です。

【映像化】

ドラマ

●杉田藻奈美/直子 - 志田未来

●杉田平介 - 佐々木蔵之介

 

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映画

●杉田藻奈美/直子 -広末涼子
●杉田平介 -小林薫

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