きままに図書館

年間120冊ほど本を読む”本のむし”です。心に染みた本たちの備忘録&ご紹介をしていきたいと思います。ネタバレありますのでご注意願います…!

『絶叫』/葉真中顕/あらすじ・感想

絶叫

著者:葉真中顕

マンションの一室で猫に食い散らかされた死体から始まるミステリー。

”事件”なのか、”孤独死”なのか…刑事の綾乃は、目の前にある死体がどのような人生を歩んできたのか、その足跡をたどります。

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---内容(「BOOK」データベースより)---

鈴木陽子というひとりの女の壮絶な物語。涙、感動、驚き、どんな言葉も足りない。貧困、ジエンダー、無縁社会ブラック企業…、見えざる棄民を抉る社会派小説として、保険金殺人のからくり、孤独死の謎…、ラストまで息もつけぬ圧巻のミステリーとして、平凡なひとりの女が、社会の暗部に足を踏み入れ生き抜く、凄まじい人生ドラマとして、すべての読者を満足させる、究極のエンターテインメント!

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貧困な家庭に生まれ、ブラックな保険会社に就職、デリヘルになり、結婚・離婚を繰り返しながら保険金殺人にまで手を染めてしまう、鈴木陽子の「闇」がページをめくるごとに明らかになっていきます。「ただ幸せになりたい」一人の女性が落ちていく。その人生を様々な人物の証言から、伏線を含みながら進んでいきます。

 

また、“陽子”に語りかける人物は一体誰なのか、読み始めは「だれなんだろう~」と思いますが、その人物が分かった時、衝撃のラストはまさに「絶叫」です!思わず「やられたー!!!」と叫びました(電車だったので、心の中です)この感覚を是非体験して頂きたいのでネタバレは無しです!

 

人は皆幸せになりたくて、そして幸せになるには努力が必要だと感じます。でも、幸せになる努力は一歩間違えれば危険な領域へ迷い込んでしまう可能性がある、と、自分は周りに恵まれていたけれど、もしかするとそういう人生もあったのではないかと考えてしまいます…。

ラストはハッピーエンドなのか読み手次第かと思いますが、私はすっきりしました!

葉真中顕さんに興味を持ち、『ロストケア』も読みましたが面白かったです!個人的には『絶叫』の方がすきですが…!文庫が出たら、Blueも読みたい…