『絶叫』/葉真中顕/あらすじ・感想
絶叫
著者:葉真中顕
マンションの一室で猫に食い散らかされた死体から始まるミステリー。
”事件”なのか、”孤独死”なのか…刑事の綾乃は、目の前にある死体がどのような人生を歩んできたのか、その足跡をたどります。
---内容(「BOOK」データベースより)---
鈴木陽子というひとりの女の壮絶な物語。涙、感動、驚き、どんな言葉も足りない。貧困、ジエンダー、無縁社会、ブラック企業…、見えざる棄民を抉る社会派小説として、保険金殺人のからくり、孤独死の謎…、ラストまで息もつけぬ圧巻のミステリーとして、平凡なひとりの女が、社会の暗部に足を踏み入れ生き抜く、凄まじい人生ドラマとして、すべての読者を満足させる、究極のエンターテインメント!
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貧困な家庭に生まれ、ブラックな保険会社に就職、デリヘルになり、結婚・離婚を繰り返しながら保険金殺人にまで手を染めてしまう、鈴木陽子の「闇」がページをめくるごとに明らかになっていきます。「ただ幸せになりたい」一人の女性が落ちていく。その人生を様々な人物の証言から、伏線を含みながら進んでいきます。
また、“陽子”に語りかける人物は一体誰なのか、読み始めは「だれなんだろう~」と思いますが、その人物が分かった時、衝撃のラストはまさに「絶叫」です!思わず「やられたー!!!」と叫びました(電車だったので、心の中です)この感覚を是非体験して頂きたいのでネタバレは無しです!
人は皆幸せになりたくて、そして幸せになるには努力が必要だと感じます。でも、幸せになる努力は一歩間違えれば危険な領域へ迷い込んでしまう可能性がある、と、自分は周りに恵まれていたけれど、もしかするとそういう人生もあったのではないかと考えてしまいます…。
ラストはハッピーエンドなのか読み手次第かと思いますが、私はすっきりしました!
葉真中顕さんに興味を持ち、『ロストケア』も読みましたが面白かったです!個人的には『絶叫』の方がすきですが…!文庫が出たら、Blueも読みたい…
『ボッコちゃん』/星新一/あらすじ・ネタバレ・感想
『ボッコちゃん』
著者:星 新一
小説のご紹介、第一回目…何にしようかと考えましたが、普段小説を読まない方でも手に取りやすいショートショートの王様 星新一さんの『ボッコちゃん』にしてみました!
一行POP:リズミカルなショートショート集!伏線回収にやみつきになり、気づけば一冊読み終えてます
---内容(「BOOK」データベースより)---
スマートなユーモア、ユニークな着想、シャープな諷刺にあふれ、光り輝く小宇宙群!
表題作品をはじめ「おーい でてこーい」「殺し屋ですのよ」「月の光」「暑さ」「不眠症」「ねらわれた星」「冬の蝶」「鏡」「親善キッス」「マネー・エイジ」「ゆきとどいた生活」「よごれている本」など、とても楽しく、ちょっぴりスリリングな50編
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ショートショートは、その名の通り一つ一つの話が短く、ラストには奇想天外な、どんでん返しのある小説のことです。10ページに満たないものもありますので、長編を読むのに抵抗がある方にはおすすめです。
中学生の時、国語の先生に教えてもらい、そのころから大好きな作家さんです。短編の間に伏線があり、最後に「ストン」と落としてくれるような、読んでいて気持ちがいい作品です。たまに伏線が上手く回収できず、何度も読み返すこともありますが、分かった時の感動は、たまりません。
今回は、特におすすめな「おーい、でてこーい」を紹介します。
---あらすじ・ネタバレ 「おーい、でてこーい」---
ある街に巨大な穴ぼこが発生します。
それを見つけた青年が「おーい、でてこい」と穴に向かって叫びます。
しかし、穴からは何も出てこない、何も生まれない。
次は試しに石ころを投げ入れてみます。石ころは穴に落ちていき、何事もない様子。
「これはよい穴をみつけた」と人間は原子炉のごみやら産業廃棄物やら動物の死骸など
とにかくなんでもその穴に捨てるようになりました。
相変わらずどんなゴミも取り込み、人間にとっては魔法のような穴として認知されます。
……数年後、ある男が外で仕事をしていると、空から「おーい、でてこーい」という言葉が聞こえました。
続いて石ころが降ってきます。
男は、「空耳か?何かの偶然?」と思いそのまま作業を続けました。
---終わり---
どうでしょうか!
意味を知った時、背筋がぞくりとしませんか!!!!!
お分かりかもしれませんが、解説すると…
この穴は数年後の空と繋がっているのです。
青年が叫んだ「おーい、でてこーい」という声、投げた石ころが空から降ってきたということは
この後、人間が捨てたゴミが空から続々と降ってくることになる、ということです…怖い…
星新一さんはこのような「はっ」とさせられるお話が多いです。
そして伏線回収の魅力にはまってしまう方が多いかと思います。わたしはまんまとはまりました。
【映像化について】
世にも奇妙な物語に出てきそうだな~と思うようなお話が多いのですが、過去に世にも奇妙な物語で映像化されているお話もあります。世にも好きの方は必読です。
きままに図書館 初めての記事投稿
はじまめして🌸
きままに図書館運営者の「おはる」です。
関西出身の26歳、牛タンが大すきな26歳です。
年間120冊ほど本を読むので、面白かった小説や心に残る小説を
皆様へ発信したいと思いブログを立ち上げました。
🌼よく読む小説は?
ミステリー、SF、コメディ、恋愛(少なめ)…等など幅広く読んでおります
漫画も時々読みます(ジャンプ系)
🌼どこで読むの?
・往復1時間半の通勤
乗換えが2回、最後の電車は3分くらいですが、その隙間時間でも読みます!
乗換の歩いているときにも読みたいですが、危ないのでやめました…
・お風呂
・お家のソファ
🌼読むペース
大体2~3日に1冊読み終わります。
薄い本だと1日に2冊読んだりもします。
🌼本にはまったきっかけ
中学生の時、授業で夏目漱石「こころ」を読んで
教科書だと抜粋されて数ページだけだったのですが、おもしろすぎて学校図書館ですぐに借りて読破。小説の魅力に取りつかれました。
🌼読んでくださった方へメッセージ
今までは読む専門でしたので、上手くお伝えできるか不安もありますが
日々精進してまいりますので、ぜひ覗いて頂けますと嬉しいです!
よろしくお願いいたします。
おはる