アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎/あらすじ・ネタバレ・感想
『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎
本作品は2015年(第12回)本屋大賞にノミネートされ、第9位となりました。6作品の短編小説が収録されており、各短編は微妙に繋がりがあります。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」とはドイツ語で「Eine kleine Nachtmusik」と記載され「一つの小さな夜の音楽(小夜曲)」という意味を持ちます。また、本作品では伊坂幸太郎さんの尊敬するミュージシャン斉藤和義さんの曲が数多く出てきます。(日テレ『成功の遺伝子』という番組では、伊坂さんの”成功の遺伝子”は斉藤和義さんだ、と放送されていました)映画化された時の主題歌を斉藤さんが担当されたことにも繋がります。
【あらすじ】 ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。 奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、 他力本願で恋をしようとする青年、 元いじめっこへの復讐を企てるOL……。 情けないけど、愛おしい。 そんな登場人物たちが紡ぎ出す、数々のサプライズ!! 伊坂作品ならではの、伏線と驚きに満ちたエンタテイメント小説!
引用:幻冬舎より
あらすじ・ネタバレ
① アイネクライネ
【登場人物】
●佐藤(27)
マーケットリサーチ会社で働く。「アイネクライネ編」の主人公。
●織田一真(27)
高校から佐藤の友達。かなり変なやつだがなぜか憎めない奴
●織田由美(27)
和真の妻。相当な美人でなぜ一真と結婚したのか、周りから不思議がられている。
●織田美緒(6)
一真と由美の長女。佐藤のことを呼び捨てにしているが可愛い女の子
●藤間(39)
佐藤の同僚。システムを運営している。会社では几帳面。「ドクメンタ編」主人公
●藤間妻
ある日突然、娘・亜美子とともに実家へ帰ってしまう。几帳面な性格
●藤間亜美子(1)
藤間の一人娘
●課長
佐藤の上司。若干嫌われている。
●アンケートに答える女性(27)
小柄でも大柄でもない女性。バズライトイヤーのストラップを携帯。手には買い忘れ防止にと「シャンプー」とメモが書かれていた
●相沢めぐみ(22)
佐藤の後輩。仕事をそつなくこなすため、古株のような貫禄あり。
●ウィンストン小野(27)
ボクサーで、日本初のヘビー級世界王者となる。
【内容】
藤間の嫁と娘が実家へ帰ってしまう。動揺した藤間は机を蹴り飛ばしパソコンが落下。支えようとした佐藤が手に持っていたコーヒーをこぼして、パソコン内のデータが消える
→ネットで集めたデータが消えたため、佐藤は街頭アンケートを採る。”佐藤”と”アンケートに答えた女性”が出合う。
→佐藤は織田夫妻から、車に吸盤でくっつけるバズの人形をもらう
→佐藤は道路工事に遭遇するが、”アンケートに答えた女性”が係員だった。女性は佐藤の社内のバズの人形を発見。二人は偶然の再開を果たし、佐藤は運命的なものを感じる。
② ライトヘビー
【登場人物】
●美奈子(27)
美容師。「ライトヘビー編』主人公。織田由美と高校時代は同級生だった。
●板橋香澄(29)
美奈子の働く美容院の常連客で、美奈子と親しくなる。
●小野学(27)=ウィンストン小野
香澄の弟。プロボクサーのウィストン小野であることは、物語の最後に判明。事務職=ジム職。
●山田寛子
美奈子の10代のころからの友達。亮一と3人でよく飲む。
●日高亮一
美奈子の10代のころからの友達。寛子と3人でよく飲む。
●斉藤さん
路上で歌を売るおじさん。気持ちや状況を伝えると、その人にピッタリな曲の一部を流してくれる。流す曲のすべてが斉藤和義の為、斉藤さんと呼ばれる
【あらすじ】
香澄から弟を紹介したいと言われ、学の電話番号を渡される
→学から着信があり話す。その後も週に何度か話すようになる。
→事務職をしていると話す学は、定期的に1か月半くらい連絡が途切れる
→香澄宅でヘビー級の試合(ウィンストン小野とチャンピオンの試合)を見ていると、香澄から学がウィンストン小野で、勝利したら奈美子に告白するらしいと伝える。
→ウィンストン小野はその試合に勝利する。
【登場人物】
●藤間(29)(34)(39)
佐藤の同僚。システムを運営している。会社では几帳面。「ドクメンタ編」主人公
29歳:独身
34歳:亜美子が生まれた(1歳)
39歳(現在)
●藤間妻
ある日突然、娘・亜美子とともに実家へ帰ってしまう。几帳面な性格
●藤間亜美子(1)
藤間の一人娘
●自動車教習センターで出会う女性(25)(30)(35)
誕生日が近いため、免許更新のタイミングが同じ。
25歳:独身。視力検査をパスする為、藤間の眼鏡を借りる
30歳:息子がいる。大雑把な彼女の性格に嫌気がさした旦那が家出
35歳:旦那と復縁。復縁をしたエピソードを藤間に話す。
【あらすじ】
「アイネクライネとほぼ同時期(現在)」、「5年前」、「10年前」の3つ時期の話です。5年に1度、免許更新時に出会う女性と藤間が話をして妻と娘に帰ってきてもらう努力をすることを覚悟するストーリーです。
そもそも妻が出て行った理由は、藤間のかなり大雑把な性格のせい。また、自動車教習センターで出会う女性も大雑把が原因で夫に家出をされていた。しかし藤間39歳、女性34歳の「現在パート」で出会った際、彼女は旦那と復縁をしたエピソードを語る。”怠惰でずっと放置していた通帳の通帳記入をしたら、旦那から「オレモワルカッタ」のメッセージが。大雑把で通帳記入をしない彼女に懸けで旦那が残していた。”その話を聞いた藤間は同じやり方で妻と復縁できるようメッセージを送ることを決意する。
④ルックスライフ
【登場人物】
「高校生」と「若い男女」の2つのストーリーが順番に書かれています。独立しているように見えますが、最終的には繋がります。
●久留米和人(高校生)
「高校生」パートの主人公
●久留米邦彦
「高校生」パートでは和人の父。「若い男女」パートでは朱美の彼氏
●小田美緒(高校生)
織田一真・由美の娘。かなりの美人。「高校生」パートのみに登場する和人の同級生
●深堀朱美先生=旧姓笹塚朱美
「高校生」パートでは和人と美緒の通う高校の教師。「若い男女」パート主人公。
●音痴な少年
和人の同級生。合唱コンクールの練習中、先生から口パクで歌うことを支持される。和人は合唱コンクールの前説で漫才をすることを提案する。
⑤メイクアップ
【登場人物】
●窪田結衣
化粧品会社勤務。『メイクアップ』編主人公。
●佳織
結衣の同期。物言いな性格で仲が良い。亜季への復讐を結衣へそそのかす。
●山田寛子
化粧品会社勤務。広報部部長補佐。『ライトヘビー』編で、美奈子と良一と飲んだ時に「仕事に生きる」ことを決意。
●照川
広告会社
●大久保亜紀
照川のアシスタント。高校時代結衣をいじめていた、クラスの中心人物
●辻井
アメリカ本社にあるネットワークサービス会社に勤務する幹部。もしかすると既婚者で、偽名かもしれないことがラストで判明する。
⑥ナハトムジーク
【登場人物/あらすじ】
今までの登場人物総出演の勢いなので、出てきたことがある人物はさらっと紹介します。『ナハトムジーク』編では「現在(アイネクライネ編の19年後)」「9年前」「19年前」の3パートから構成されています。主人公は、美奈子と学です。
「現在(アイネクライネ編の19年後)」
美奈子と学は、小野学(ウィストン小野)の歴史を振り返る番組に出席する。そこで過去を回想する…。
●司会者
和人の同級生。合唱コンクールの前説で漫才を披露したことがきっかけで司会者になる。
●ウィストン小野=学
19年前にヘビー級のチャンピオンになるがその後は負け続け王者の座から落ちる
●国外で活躍するモデル
=9年前のラウンドボーイ=19年前に救った中学生
「19年前(アイネクライネ編と同時期)」
・佐藤、織田夫妻、小野夫妻は織田夫妻の家に集まる。佐藤はウィストン織田のサインをもらうため(藤間に渡す用)。織田由香と小野美奈子は親友だったから。
・佐藤、織田夫妻、小野夫妻は公園でいじめられている中学生を助ける。
・小野学はいじめられている中学生にボクシングをするよう勧める
●いじめられている中学生
耳が悪く補聴器をつけている
●いじめている中学生の姉
弟を守る勝気な少女
「9年前(アイネクライネ編と同時期)」
・学はオーエンスコットとチャンピオンの座をかけて試合がある
・藤間は離婚していたが、元妻と良い関係を築いている
・オーエンスコットとの試合中、限界の学をラウンドボーイが鼓舞しオーエンを倒す
・オーエンを倒すが、ゴングが鳴った後とのジャッジがなされオーエンに敗北する
●オーエンスコット
天才ボクサー。ウィストン小野と試合をする。
●ラウンドボーイ
過去にウィストン小野が助けた中学生。
感想
あらすじ、登場人物の説明がへたくそでした…お判りでしょうか…本を読みながら、誰だこの人と感じた時にこの記事を読んでいただけると幸いです!!
数多くの伏線があり回収できたときはとてもとてもうれしい気分になることができます!何度も巻き戻りながら読んでいたので、いつもより時間がかかってしまいましたが、薄い本にもかかわらず読了感をたっぷり味わうことができました!
ゆっくり本を読むことができるタイミングにじっくり読むことをおすすめします。
映像化